nobuの雑記帳「+バイアスを少し」

近頃なぜか真空管や電子工作に興味を持ちだし、日常生活に少しの刺激と楽しみをプラスしようと、凝り固まった頭の体操も兼ねてこの雑記帳を綴ることにしました。
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なんちゃって真空管試験機の製作(その3 バイアス電源の実験)

 このテーマは(も)遅々として進んでいませんが、決して放棄した訳ではなく、回路は(動くかどうかは別にして)殆ど決まり、ケースを含めて8割以上のパーツも集まっています。急ぐ訳ではないのでのんびりと楽しみながら進めるつもりです。

 今回は唐突にバイアス電源について試作と実験を行いました。
 当初は-数十V~0V程度が出せればいいや!と考えて、ツェナーダイオードや簡単な定電圧回路で組むつもりでした。しかし正バイアス領域で動作させる球も結構あることに気付き、-数十V~+20V程度まで連続可変したいと今回の実験となりました。
 実験の結果、実回路にするには幾つか課題はありますが(多分)目標の性能が出せそうです。
    
BIAS電源実験_基板接続  


1.バイアス電源の仕様
  「なんちゃって真空管試験機」は大それた性能を要求するものでもなく、自分の手持ち球(中小電力の汎用球)を計測できればいいので、それに沿った仕様を目標とします。

 (1) 目標仕様
   +電圧を高くすると、誤操作で即真空管絶命のおそれもあるので程々とします。
   ・電圧範囲 :-80V~+20V(安定化と連続可変)
   ・電流出力 :数十mA最大(過電流及び短絡時の電流制限)


2.回路の検討

 (1) 回路構成
   (案1)電流容量が要らないなら、フローティングのDC100Vを抵抗+コンデンサで20V+80Vに分割し、中点を仮想グランドとすることで可変抵抗を使用して-80V~+20Vを連続可変することが出来そうです。しかしこの回路では電流を取ろうとすると電圧降下が大きくなります。回路は簡単でいいのですが却下です。

   (案2)安定化するために、基準電圧を元にオペアンプで電流/電圧ブースタをドライブする回路を採用します。とは言っても私の頭では考えつかないのでお手本を探してきました。それはLINEAR TECHNOLOGY社のApplication Note 18"Power Gain Stages for Monolithic Amplifiers"です。トランジスタ+OPアンプ回路となりますがこれを採用します。

 (2) お手本回路の働き
   当該資料のFig9. ±120V Output Stage.回路を次に示します。私などが説明するまでもありませんが、回路の大まかな働きはおおよそ次のとおりです。(間違っているかも?)
  Fig9回路図_LinearTech

  ① OPアンプ回路は反転アンプで、+入力に加わった信号(電圧)に比例した反転出力(電圧)が終段から出力されます。回路全体のオーバオールゲインは-100k/10k=-10なので+10Vが加わると-100Vが出力される計算です。なおトランジスタ段は反転増幅となっており、出力のフィードバックはOPアンプの+入力に戻ります。

  ② Q1/Q2が電圧ブースタでゲインは1M/50k=20となっています。しかしトランジスタ段はOPアンプのフィードバックループ内にあるため、オーバオールゲインは前記のとおりです。

  ③ Q3/Q4はエミッタフォロワで電流ブースタを構成しています。

  ④ Q5/Q6は出力電流制限を担い、Q3/Q4のエミッタ抵抗の電圧降下がVbe(約0.65V)を超えるとQ3/Q4をOFF状態にします。この回路では27Ωのエミッタ抵抗で約25mA制限となっています。


3.試作回路
  お手本回路を元に手持ちのジャンク部品を活用し定数も適当に変更しました。
  (H27.1.30) バラック試作版の回路を載せておきますが、あくまで試作であり定数設定も適当で間違っている可能性もあります。信用しないで必ずご自身で再計算してください。
  バイアス電源の実験回路s

 (1) 元電源部
   100Vの小型トランス2個で±100Vを作る事を想定し、出力に加えてOPアンプや基準電圧の電源もこれで賄います。今回の実験は±100Vの電源がなかったので±60Vで行いました。

 (2) 基準電圧部
   +100VからTL431で基準電圧2.5Vを作り、この2.5Vを抵抗分圧して仮想GNDを作ると共に、可変抵抗をとおして出力電圧制御用の(仮想GNDに対して)+2.0V~-0.5VをOPアンプに入力します。

 (3) OPアンプ回路
   入力電圧が+2.0V~-0.5Vなのでオーバオールゲインを40としました。ちょっと大きすぎる気もしますが出力は-80V~+20Vとなるはず(希望)です。

 (4) トランジスタ段
   回路はお手本とほぼ同じです。オーバオールゲインが40なのでトランジスタ段の電圧ゲインは余裕を見て50としました。電流制限は抵抗値を10Ωとしたので60mA強となるはずです。


4.組み立て
  試作なので適当に小型ユニバーサル基板に組みました。
  使用部品は大半がジャンク箱からの出戻り品です。値を直並列で賄ったりサイズ過大なもの、足を継ぎ足したものもあります。見た目はよくありませんが試作と言うことで。
  BIAS電源実験_基板外観

 (1) トランジスタは、取外し品のコンプリペア(2AB568/2SD478)を足を継ぎ足して使っています。特性カーブが見当たらないので周辺部品の定数は適当です。電流制限用も適当なもの(2SA1318/2SC828)です。

 (2) OPアンプはこれまた古そうなM5218という三菱製です。


5.試験結果
  作動確認及び基本特性などを計測してみました。
  BIAS電源実験_風景

 (1) 試験装置
   ±100V電源など持ってないので、自作の真空管実験用電源の+B電圧と-C電圧を利用して±60Vで作動確認を行いました。

 (2) 無負荷出力電圧
   元電源が±60Vなので-側出力は頭打ちになりますが、可変抵抗の回転に伴ってスムーズに出力電圧の可変が出来ました。可変範囲が広いので微調整が難しく、実装時は多回転型ポテンショを使用する必要があります。
      電圧範囲 :-56.2V~+20.1V

 (3) 負荷出力特性
   自作の電子負荷装置を使用して、+20V/-56V出力時の電流・電圧特性を計測しました。負荷電流が数十mAなので出力電圧は安定しており電流制限もきちんと働いています。
   なお、実験電源の-C出力が30mA強で制限がかかるため-側は制限値までは計測できませんでしたが、+側の状況から考えて問題ないでしょう。
     負荷電流(mA)   出力電圧(V)
         0 (無負荷)   -56.00
        10         -56.00
        20         -56.00
        30         -56.00

         0 (無負荷)   +20.00
        10         +20.00
        20         +20.00
        30         +20.00
        40         +20.00
        50         +20.00
        60         +20.00
        62         +19.99
        64(電流制限)  +0.03

6.課題等
  これで-80V~+20Vのバイアス電圧を連続可変できる目処が立ちましたが、幾つか課題もあります。

 (1) 無負荷時でも出力段トランジスタが結構熱くなります。触れない程ではありませんが放熱対策をした方がいいようです。出力短絡時には100V×60mA=6W/個の発熱が予想されるので、実装時は考慮が必要です。

 (2) 元電圧は±100Vですが、+側は最大+20Vまでの出力に対して過大です。発熱を抑えるためにも+30V程度に回路変更するつもりです。

 (3) トランジスタの発熱を調べようと指温度計で掴んだとたんに感電してしまいました。金属フィン(コレクタ電極)が剥き出しなのをうっかり忘れており、久し振りの痛刺激を味わいました。フルモールド型のコンプリペアを探さなくては。

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