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nobuの雑記帳「+バイアスを少し」

近頃なぜか真空管や電子工作に興味を持ちだし、日常生活に少しの刺激と楽しみをプラスしようと、凝り固まった頭の体操も兼ねてこの雑記帳を綴ることにしました。
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ウーファイコライザの製作

 久しぶりの更新記事です。
 マイオーディオのスピーカNS-1000Mは、30cmウーファの密閉エンクロージャで、低域は力強さと切れがあるものの、数十Hz辺りでストンと落ちて伸びがなく硬い低域という感じがします。
 低域の量感がもう少し欲しい時は、一般にトーンコントロールやグラフィックイコライザでバスブーストを行いますが、今回は「Linkwitz Transform」と呼ばれるウーファイコライザを製作してみました。
  Woofer equalizer_NS-1000M Woofer view




1.NS-1000Mの特徴
 約10年前に取りあえずで入手した中古のNS-1000Mですが、いまだに愛用しています。新しいのを買うお金がありません。文句を言わずにもう暫く使い続ける(ざるを得ない)予定です。
 NS-1000Mの取説に示されている仕様は次図のとおりです。
  NS-1000M Freq characteristics

 経年変化による劣化を差し引いても、高域も低域もバッサリ切り落としたかまぼこ形特性であることは、音楽を聴いていても感じます。但しそれが不満につながる訳ではなく、過不足無く程よい帯域を持っており、合わせて中高域の独特の癖(キラキラ感)が個性であり、当時人気を博したのだろうと思います。
 私の耳は聴感も衰え、20kHzは言うに及ばず18kHzも怪しく、16kHzならなんとか胸張って自信ありの状態なので、高域は文句言いません。これで十分です。しかし、低域は力強さはあるものの伸びがなく不満です。私の駄耳でも、もう少し低域のふくよかさが欲しいなと思っていました。


2.ウーファイコライザとは
 先のNS-1000Mの周波数特性を見て分かるように、低域は密閉型の特徴として約12dB/octで落ち込んでいます。この特性の差分を補正してやり低域をフラットにするのがウーファイコライザの役目です。

 (1) 基本回路と説明
  私のオーディオ関連の主要バイブルは、著名な「ぺるけ氏の大人の自由空間」とここで紹介する「Rod Elliott氏のElliott Sound Products(ESP)」です。ESPでは、多くのプロジェクト(製作事例)や技術説明が公開されており、未熟な私には非常にためになります。国内外の多くの方が参考にされていると思います。

  ウーファイコライザは、密閉型エンクロージャの低域をイコライズ(補正)して、等価的にフラット特性を得るものです。バスレフ型は前方放射音とポート通過音の位相特性が複雑で、今回の目的には適していません。
  本テーマは、ESPプロジェクトの一つである「Linkwitz Transform Circuit - an equaliser to provide extended bass response」に基本回路と共に詳しく説明されています。また合わせて、Articleの「The Linkwitz Transform Circuit - What it is, what it does and how it does it」を一読すると詳細が分かります。よって、私からの説明は省きます(理解不足で舌を噛むといけないので・・・)。各記事は平易な英語で分かりやすく書かれています。

 (2) スピーカのイコライズ可否チェック
  先ずは、NS-1000Mがイコライザで効果があるか否かの確認をします。プロジェクト記事に記載されていますが、50~100W程度のアンプ(スピーカの許容電力に注意)を接続して20Hz正弦波で徐々に音量を上げながら駆動します。この時、ウーファのコーン紙が動いても何も音が聞こえない(20Hzが聞こえる人がいるかもしれないが)なら、素直なウーファ特性でイコライズ可能です。もし、音(3次高調波の60Hz)が聞こえたりコーン紙が異常な振動を生じるなら、残念ながらイコライザの効果は諦めます。

  20Hzで50W以上と言うとトランジスタアンプが必要です。クローゼットから古いONKYO製M-507パワーアンプ(150W/8Ω)を引っ張り出してきました。これも10年以上前にジャンクで入手して修理&整備したもので、粗大ごみになる前にやっと活躍の場ができました。
  ONKYO M-507

  音楽用PCで20Hz正弦波を再生し、自作USB DAC+ラインアンプ経由でM-507を通してNS-1000Mを駆動します。音量を上げていくとウーファのコーン紙が大きく揺れるのが目視でも分かり部屋全体が共鳴していますが、ウーファからは60Hz高調波は聞こえません。NS-1000Mはイコライズできそうです。

 (3) 部品定数の決定
  ターゲットとなるスピーカに合わせて回路定数を決定しますが、プロジェクト記事にて計算用ツール(Excelファイル)が提供されています。大変有り難いです。
  ウーファのパラメータ(Fs、Qts、Vas、Vb)を指定する必要がありますが、メーカ(YAMAHA)が公開している訳はなく、私には計測するスキルも意欲もありません。海外のとあるHPでNS-1000Mウーファを計測された方が値を公開されており、有り難く使わせていただきました。
  計算ではウーファのロールオフ周波数Fs(f(0))は約52Hzとなりました。これを新しいロールオフ周波数f(p)に変換(イコライズ)する事になりますが、今回はf(p)=20Hzと設定しました。これで20Hzまでフラット特性となるはず。
  当該ツールの計算結果を次に示します。
  Linkeitz Transform_NS-1000M Trial calculation

  各定数の値と共に、計算特性カーブが示されています。青ライン(又は上段グラフの赤ライン)が密閉エンクロージャ取り付け時のウーファの特性です。前出の取説仕様(特性図)と比べて、まぁ良いところではないでしょうか。
  緑ラインがイコライズ後の特性カーブです。20Hzでロールオフ(3dB落ち)となっています。赤ラインはイコライズカーブで、この特性を持った回路定数となります。

  ここで注意が必要なのは、低域ゲイン(DCゲイン)です。約16dBを示していますが、これはフラット帯域に比べてイコライズ帯域では最大約16dB(電力比で約40倍)のアンプパワーが(クリップしないで)必要と言うことを意味します。通常1Wで聴いていたら最大40W、10W(かなりの爆音)なら400Wが必要となります。まあ、実際には音楽ソースの超低域レベルはそれほど大きくないため、また少々歪んでも気付かないため、一般的には100W程度のアンプであれば十分ではないかと思います。スピーカの許容電力にも注意が必要です。


3.製作
 私は、プロジェクト記事の回路にユニティゲインのバッファ段を追加して組み立てました。回路は約16dBのDCゲインを持つため、実装が酷いと発振する可能性があります(20dBを超えると危険かも)。このためプリント基板を起して組み立てました。

 (1) 部品選別
  上記の部品定数に沿って、実際のCR部品を当てはめます。ピッタリの値は無理なので、誤差2%以下を目標に直並列に組み合わせました。なお、各値の絶対値よりも相対値に重点を置いて、CRは実測して値が揃ったものを選別しました。

 (2) 実装(プリント基板)
  組み立て完成後の姿は写真のとおりです。
  Woofer equalizer_PCB Completed

  抵抗が空中配線になっており見てくれが悪いですが、パターン修正・基板再製作が面倒なのでこのままです。
  OPアンプはノイズ特性に優れ、廉価なNJM2114を使用しました。2つのジャンパーピンは位相反転切替え用です。

 (3) 特性計測
  計算どおりに特性が得られているか否か、周波数特性を計測しました。自作の周波数特性計測器を使用し、信号源インピーダンス600Ω、0dBVを入力した時の出力が次のグラフです。
  Woofer equalizer_Measurement of Freq Response  Woofer equalizer (Linkwitz Transform)_Freq Response 

  左右の特性はほぼ合致しており、低域を除いて高域は100kHz以上迄フラットとなっています。
  先の計算結果と比較してみると、20Hz以上はほぼ合っています。計算ではDCまで約16dBのゲインがあるはずですが、実測では20Hz以下は低下しています。これは、実際の回路には超低域の安定目的で、入力にサブソニック(超低周波)フィルタ(約8Hzで-3dB)が入っているためです。


4.システムに組み入れて試聴
  マニアの方から見れば恥ずかしいようなマイシステムですが、ラインアンプとパワーアンプ間に本機をバラック状態で組み入れ、実際の音楽ソースで試聴してみました。
  バラック状態なので注意が必要です。不注意に基板を触って、ウーファが低周波発振で唸りだしたのには冷や汗をかきました。
  Woofer equalizer_Operation Check view  Woofer equalizer_PCB Operation Check

  ラインアンプの音量は通常位置にして、PCから正弦波を送ります。20Hzは音には聞こえませんが肌に動きを感じます。30Hz辺りになると明確に音を聞き取れます。元のシステムではもっと鈍かったと思います。
  次に実際のCDを再生すべく、超低域が入っていると思われるCDを幾つか選びました。ESPプロジェクトの記事中で著者が書かれていますが、ピンクフロイドのアルバム「Dark Side of the Moon」の冒頭のビート(タイトル「Speak to Me」)は25Hzだそうです。私の持っているものは2011年リマスター版で、元のシステムでは最初の部分が聞こえませんでしたが、ウーファイコライザを通すと体に音圧を感じると共に、地を這うような音が聞き取れます。これは凄い!
  Dark Side of the Moon_Remaster

  その他にも、重低音を謳っているアルバムやオーディオファイル向けと銘打っているCDタイトルも幾つか聴きましたが、明らかに低域が伸びており雰囲気が一変したように感じます。決してズンドン鳴っている下品な低音ではなく、良質の空気感が感じられ、それに伴って中高域も際だっているように思います。
  まぁ、私の駄耳評価なので、何時ものごとく話半分以下と思ってください。それでもマイシステムでは、低域に対する何らかの効果はあります。これが良いか邪道かは人各々だと思いますが、個人的は大いに興味があります。


5.その他
 実はこのウーファイコライザは、このままケースに組込んで完成とする気はなく、別途製作中のアクティブクロスオーバ(チャンネルディバイダ)の低域チャンネルに組込もうと考えています。手持ち部品不足に悩まされ、完成は何時になるかなぁ(秋葉原に買い出しが必要かも)?

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