nobuの雑記帳「+バイアスを少し」

近頃なぜか真空管や電子工作に興味を持ちだし、日常生活に少しの刺激と楽しみをプラスしようと、凝り固まった頭の体操も兼ねてこの雑記帳を綴ることにしました。
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MQ60のメンテ (2010年9月実施)

 MQ60は1970年頃にLUXが製品として販売した50CA10-PP(30W+30W)の真空管パワーアンプです。このキット版がKMQ60で、共に当時は人気製品だったようです。
 このMQ60は今から数年前に知人より故障品として入手したものですが、当時は真空管アンプには全く興味が無く、即押し入れに直行となっていました。

 ある日、真空管アンプ自作の勉強のためにこのMQ60をメンテしようと思い立ち、先ずは基礎から勉強を始めました。教科書はぺるけさんがHPで公開されている”私のアンプ設計マニュアル”です。アンプ設計のイロハを学ばせて頂きました。
 何とか自力でロードラインを引けるようになったので、50CA10を酷使しないような動作点にすべくオリジナル回路を見直しました。
 幸いにも大物パーツは殆ど使用可能であったため、分解&再組み立てもスムーズに行きました。再塗装もなされて見違えるようになったMQ60は息を吹き返し、誇らしげに音楽を奏でています。
MQ60_修理完了 右斜めカット



(1) 入手時の状況
 故障品として長らく物置に眠っていたらしく、MQ60が私の元に来たときは一見してゴミと見間違うような状態でした。降り積もった埃に所々の錆び、水洗いしたくなるような状態でした。ゴキッチ(黒光りするヤツ)の死骸も・・・。
 このまましまい込む訳にもいかず掃除機と刷毛で埃を落し、こぎれいになった状態で段ボールに入って貰いました。
MQ60_修理前 外観フロント  MQ60_修理前 外観背面
MQ60_修理前 内部


(2) 整備開始
 2年ぶりで引っ張り出して先ずは現状チェックです。MQ60のトラブル事例はネットで調べてあり、そこを重点にチェックしました。
 まず最優先はOPT(OY15-5)の断線チェックです。外見ではピッチが漏れた様子はなく、DC抵抗計測さらにAF発振器で信号を入れてのチェックまで行い、問題ないことを確認してほっとしました。
 真空管は当時チェックの手段が無く、ゲッタの状況とヒータの断線チェックはOKでした。PTとチョークコイルは巻線の断線チェックと絶縁抵抗計測です。スタンド型電解コンデンサ3本は容量とESR(等価直列抵抗)をチェックして正常値の範囲だったので、取りあえずそのまま流用です。

 とにかく全て分解です。CR類は流用しないのでお構いなしにニッパで切っていきます。ラグ端子も廃棄、真空管ソケットも交換です。しかし50CA10(コンパクトロン)用ソケットは買うと高いので、きれいに洗浄して流用しました。


(3) 回路構成
 まずオリジナルの回路がどうなっているか記録しておきます。ネットで出回っている回路図も幾つかバージョンがあるようで、細かな数値が異なっています。またキット版であるKMQ-60も少し違うようです。実物を確認して回路を起し、これを元に各部の変更を検討しました。
 MQ60はEp=460Vで30Wを絞り出すように出力管50CA10に無理を強いており、これを少しでも緩和することにしました。

 (2013年5月5日)今更ですが変更後の回路をアップします。手描き資料から書き写したため間違いがあるかもしれません。ご注意下さい。
MQ60_modify 回路small


① +B電圧
 PTの高圧巻線は360V端子しかなく50CA10はEp=約460Vにもなっています。この酷使されている状態を和らげようと、+B電圧を極力下げる方法を考えます。
 整流出力に抵抗を入れる方法もありますが、最大200数十mAの負荷電流による抵抗の発熱が半端でない値となります。また50CA10はAB1級PPで作動しており、入力信号に伴って負荷電流が変動するため、抵抗を入れて電源インピーダンスを増加させるのは好ましくありません。
 結局、PTの一次タップを100Vから117Vに変更することで、見掛け上二次側を308Vで使用でき、現在のEp=460Vを380V程度にできそうです。

② ヒータ電圧
 一次タップを117Vにしたことで6.3Vは約5.5Vに低下しました。
 幸いにもヒータ電力を食う50CA10はAC100Vから直に電源を貰っており、PTの6.3V端子は初段管とドライバ管のみを賄います。そのためこのAC5.5VをSBダイオードでブリッジ整流し大容量のケミコンを入れることで、負荷を掛けた状態で約DC6.1Vが得られました。若干電圧が低いですがDC点火でもあり良しとしましょう。
 50CA10のヒータが2本直列となっているところに30Ωの抵抗を入れて、ヒータ電圧を96V程度に低下させました。

③ バイアス回路
 MQ60の固定バイアス回路は安物の半固定抵抗が使用されており、この接触が劣化するとバイアスが浅くなって50CA10に過大電流が流れ、50CA10の劣化やOPTの断線に至ります。
 半固定抵抗を良質のものに交換すると共に、接触不良を起した場合でもバイアスが浅くならないように変更しました。

④ リップルフィルタ
 +B電源はチョークコイルによるπ型フィルターとなっていますが、更なるリプル低減のためにトランジスタによるリップルフィルターを後段に追加しました。
 完成後の試聴ではハムは殆ど感じられませんでした。

⑤ ロードライン
 +B電圧が低下したことで、出力段やドライバ段のロードラインを全て見直します。但し基本回路はそのまま維持し、回路定数の変更にとどめます。なんと言ってもLUXの音(どんな音か知りませんが)を聞いてみたいと思いますし、もし大幅変更をするならその後にします。
 50CA10はEp=380V弱でロードラインが引けそうなので、プレート損失を考慮してIp=50mAを動作点としました。


(4) 構造・外観
 シャーシ、トップパネル及びボンネットは錆や汚れを落とし、出来るだけ塗装を剥がして再塗装しました。シャーシはオリジナルのくすんだ色からメタリックブルーに変更して明るい感じにしました。
 PTとOPTも黒のつや消しで再塗装しました。OPTの銘板やMQ60の銘板は錆を落として透明ラッカーを吹いておきます。
 背面のRCA端子とSP端子は共に取り替え、SP端子はバナナチップが使用できるものにしました。
MQ60_修理中 パネル塗装


(5) 組み立て
 完全にばらしたので一から組み立てます。
 シャーシの深さが40mmと浅いので、部品の高さに気をつけて取り付けていきます。ヒータの整流回路やリップルフィルター回路を追加したため若干込み入っていますが、ステップバイステップで進めます。
 写真ではオレンジ色のカップリングコンデンサがけばけばしいですが、視聴後に別の汎用品に取り替えました。
 SPの代わりにダミー抵抗を使用し、各部の電圧をざっと計測して計画値から大きく外れていないことを確認します。その後にバイアス調整で細かく追込みますが、50CA10のIpは50mA以下に抑えるのが優しさでしょう。
 必要により周波数特性や歪み率の計測、NFBの調整等を行って調整完成です。ボンネットを取り付け、裏蓋を取り付けてメンテ完了です。
MQ60_修理完了 フロント  MQ60_修理完了 背面
MQ60_修理完了 内部


(6) 所感
 整備前と比べると、その外観は見違えるようになりました。さすがに細かな傷は隠せませんが、一寸見美人にはなれたでしょう。
 オリジナルの音は知りませんが、出てくる音は一寸感動です。私自身真空管アンプの音を知らないこともありますが、結構いいですよ。(いいとしか言えないところが悲しい)
 少なくても我が家のトランジスタ・アンプ(30年選手のYAMAHA B-3)と比べると、良質の音に聞こえます。こりゃ主役交代かな。


(7) その後
 当時はトランジスタ・アンプを押しのけて主役に居座ったMQ60でしたが、今年(2012年)夏には新顔のUZ42全段差動PPアンプにその座を奪われ、今はうっすらと埃をかぶっています。
 もう一度分解し全段差動アンプに組み直そうかとも考えましたが、PTを交換する以外にEpを下げる手段が無く、いまだに手を付けられません。このまま”なんちゃってLUXアンプ”として残しておいてもいいかな・・・と決心が付きかねます。
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