nobuの雑記帳「+バイアスを少し」

近頃なぜか真空管や電子工作に興味を持ちだし、日常生活に少しの刺激と楽しみをプラスしようと、凝り固まった頭の体操も兼ねてこの雑記帳を綴ることにしました。
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DC基準電圧源の製作

 私は電子工作の表示器にPICやAVRを使用したLCD表示器をよく使用します。また最近では秋月のデジタルパネルメータ(DPM)やLCDデジタル電圧計も使用しました。
 これらは電圧・電流表示用メータとして手軽に使用できますが、未調整では結構なばらつきがあり表示誤差が無視できない程です。

 我々アマチュアが実際にメータを調整しようとすると大きな壁があります。それは絶対基準にできる基準器が無いのです。きちんと校正された高精度(高価)マルチメータは基準になりますが、汎用テスターや校正履歴のないマルチメータしか持っていない私にとっては、如何ともし難い現実です。
 ・・・と嘆いても始まらないので、いつか校正の機会に希望を託して、そこそこの精度を持つ「我が家限定・DC基準電圧源」を製作しました。

DC基準電圧源_アップ



(1) 仕様と機能
 いつの日か校正できることを前提に、趣味レベルの精度確保を目標としました。
   ・基準電圧源:シャントレギュレータ(ダイオード温度補償)
   ・出力電圧 :0.0V~6.0V、0.1Vステップ
   ・電圧精度 :0.1%(目標値)
   ・負荷抵抗 :1MΩ以上


(2) 回路構成
 基本回路は、Work Shop (電子工作室)さんの4-20mA 基準電圧発生器を使用させて頂きました。ありがとうございます。

DC基準電圧源_回路図  LM336Z-5温度ドリフト

 基準電圧源はシャントレギュレータLM336Z-5です。データシートではブレークダウン電圧=5.000V時が最も温度ドリフト特性が良いので、Adjに接続した可変抵抗でアノード電圧5.000Vを得ます。またシリコンダイオード2個による温度補償を組み合せます。
 この基準電圧5.000Vが本器の肝となります。

 LM336Z-5で得た5V基準をボルテージフォロワ経由で分岐して、1Vステップ設定回路と0.1Vステップ設定回路に分配します。
 1Vステップ設定回路は、5V基準を1kΩ×5本直列回路で1Vステップに分圧します。
 0.1Vステップ設定回路は、5V基準から4.7kΩ+2kΩトリマで1Vを作成し、さらにボルテージフォロワを経て1kΩ×10本直列回路で0.1Vステップに分圧します。
 1V/0.1Vステップ設定回路で設定された両電圧は加算回路で合成され、ボルテージフォロワを経て出力されます。その結果、0V~6.0Vまで0.1Vステップで出力電圧を設定することができます。
 電源部はノイズ防止と簡略化のために006P 9V乾電池を2個使用し、7.5VZDで安定化しています。


(3) 製作
 製作は特段難しい所はありませんが幾つか注意点があります。

DC基準電圧源_内部右前  DC基準電圧源_内部右後

 ① 接触抵抗の影響が少なくなるように工夫します。
  オペアンプは直接ハンダ付けしたいのですが、諸事情によりソケットを使用しました。電圧設定スイッチもできるだけ良質のものとします。私は倹約のため秋月の12接点型を使用しました。

 ② オペアンプは高精度型と呼ばれるオフセットやドリフトが少ない品番を使用したいのですが、汎用品に比べて結構お高い(約500円以上?/個)ものになります。今回は我慢して手持のNJM2114、MJM5532DD、NE5532Pから選別しました。懐が温かくなったら高精度品に交換することにします。

 ③ LM336Z-5温度補償用のダイオード2個は、できるだけLM336Z-5に近い所(同じ温度の所)に配置しますが、同じ基板上であれば問題ないでしょう。

 ④ 分圧に使用する1kΩと加算回路の10kΩは、その絶対値よりも相対値を揃えるようにします。理想は0.1%級精密抵抗ですが、1%級金被抵抗から選別するのが現実的です。

DC基準電圧源_抵抗選別

  私は、先日製作した低抵抗計の1mA定電流とDMMを使用して1kΩを選別しました。1%級金被抵抗100本入り2袋から、誤差0.1Ω以内になるような1.0005kΩを10本と1.0016kΩを5本選別しました。10kΩは他に選別手段がないのでDMMで1Ω桁まで一致する9.997kΩを選別しました。

⑤ オペアンプ加算回路は若干悩みました。加算回路には反転加算回路と非反転加算回路がありますが、今回は最終的に非反転加算回路をオフセット調整なし(オペアンプを選別)で使用しました。
  非反転加算回路は入力信号相互の電流干渉が生じることやオフセット調整回路によるゲイン調整が難しい(調整用抵抗がゲインに影響する)ので、反転加算回路+反転増幅回路とすべきですが、オペアンプが1個増えるのを嫌ってオフセット調整なしの非反転加算回路としました。どちらがどの程度良いかは厳密に計測してみないとわかりません。


(5) 調整
 作動確認と調整を行いました。シャントレギュレータの5.000V基準出力は24時間連続作動でもDMM表示は5.000Vで安定しています。(もっともDMMの安定性も信用できませんが)

DC基準電圧源_5.0V基準計測  DC基準電圧源_2.5V計測

 調整手順は上流(基準源)から下流(出力)へと順に行います。
 LM336Z-5の出力を5.000Vに調整することが最重要です。そのためにできるだけ高精度で信頼できるDMM等を準備して下さい。

 ① LM336Z-5のアノードとGND間の電圧がキッカリ5.000Vとなるように10kΩトリマを調整し、その状態で30分程様子を見て変動がないことを確認します。

 ② 設定スイッチを1V(×0.1Vスイッチを10)に設定し、ボルテージフォロワ出力とGND間の電圧がキッカリ1.000Vとなるように20kΩポテンショを調整します。

 ③ 1V/0.1Vステップ設定スイッチを共に0Vに設定し、出力電圧(オフセット電圧)が最小となるオペアンプを選別します。本器は0.132mVでした。

 ④ 以上の調整後に暫く連続作動させて安定性を確認すると共に、必要により再調整を行います。

 ⑤ これで完了です。出力電圧は設定電圧とピッタリとは合わないと思います。その場合はそんなものだと妥協し、各設定ポジションの出力実測値を記録しておきます。

 本作例では次の表及びグラフのような結果となりました。誤差が目標の0.1%をほぼクリアしているので、私的には妥協レベルです。

DC電圧基準源_実測値small  DC電圧基準源_誤差グラフ


(6) 使用方法
 0.1Vステップで0.0V~6.0V(公称)までの基準電圧と5.000Vの基準電圧が使用できます。電流容量は小さいので、1MΩ以上のインピーダンスで受けることが望ましいです。


(7) 所感
 より精度の高い基準電圧源としてAD588ボルテージリファレンスIC(未調整で0.03%)が有名ですが、いざ購入しようとすると高価なので躊躇します。
 今回はお手軽にシャントレギュレータを使用しましたが、まあ私的にはこの程度でも良いかなと妥協しています。一番の問題は校正用の計測器がないことで、何とかしたいものです。
 5.000Vの基準電圧は結構安定しているので、その内高精度電圧ディバイダを製作したいと考えていますが、何時になることやら。

 最後に秋月のPM129Eを購入時のまま(20VFS.設定)で本器の5.0V基準電圧を計測してみました。5.04Vは0.8%(FS比0.2%)の誤差です。まあこんなものでしょうか。でもきちんと調整しないと気が落ち着きません。

DC基準電圧源_秋月DPM確認

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