nobuの雑記帳「+バイアスを少し」

近頃なぜか真空管や電子工作に興味を持ちだし、日常生活に少しの刺激と楽しみをプラスしようと、凝り固まった頭の体操も兼ねてこの雑記帳を綴ることにしました。
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トランジスタカーブトレーサの製作 (完成)

 □△◎※の製作というタイトルで製作途中を記事にしましたが、組み立て及び調整がほぼ完了しましたので、改めてご紹介します。

 本機はトランジスタカーブトレーサです。簡単なもので良いのでいつかは製作したいと思っていましたが、やっと実現しました。
 例によって自力開発は不可能なので、Webで先達の方が公開されている製作事例をお手本にさせて頂きました。

 公開されている資料を元に、調整結果等で一部パーツの変更や定数・回路変更等を行いましたが、殆ど教科書どおりです。
 機能的には幾つかの制約があり開発途上の感は否めませんが、基本機能はきちんとしているので、将来のアップデートに期待大です。
 この製作を通じて回路やソフト等、大変勉強になりました。

TRCURV_完成全体内部




(1) 製作事例の調査
 オシロを利用したトランジスタ特性カーブ表示等の事例は幾つかありますが、カーブトレーサとして纏まった製作事例はなかなか見当たりません。
 色々探した結果、当初選んだのは海外電子工作雑誌 Elektor誌に掲載された"Transistor Curve Tracer"でした。これは小信号用トランジスタを対象にしてPCにカーブを描かせるもので、Elektorからは(部分)キットも販売されています。

 Elektor誌の記事で製作すべく準備を進めていたさなか、偶然にWebにて次に紹介する製作事例を見つけました。これは基本的にElektor誌のものとほぼ同じものです。


(2) お手本の紹介
 お手本にさせて頂いたものは、Andreas Lindenau氏が公開されている"Kennlinienschreiber V1.xx"です。

Kennlinienschreiber

 これは私の期待に十分すぎる内容で、PCからUSB経由でコントロールができ、トランジスタ、FET、ダイオードに対応しています。氏のホームページから勝手に画像を借用しましたが、非常にコンパクトに纏まっています。計測データの記録もできるのでExcel等で加工も出来そうです。

 ① 引用元
  Andreas Lindenau氏のホームページには必要な資料やプログラムが一式公開されており、そのまま製作するならこれだけで十分です。資料を読んで頂ければ以下の記事は読む必要ありません。

 ② 機能・性能
   ・計測対象 :N&P Tr、N&P MOSFET、N&P JFET、ダイオード(含むLED、ツェナー等)
   ・コレクタ/ドレイン電圧 :±10Vmax
   ・コレクタ/ドレイン電流 :500mAmax
   ・ベース電流 :1mAmax
   ・ゲート電圧 :±10Vmax
   ・特性カーブ :Tr、FET入出力特性(Ib-Ic、Vg-Id/Vec-Ic、Vd-Id)及びダイオード特性(Va-Ia)
   ・PCインターフェース :USB(仮想COMポート)

 ③ ハードウェア
  基板1枚に必要な機能が全て載っています。計測電圧はワンチップマイコンPIC18F4520によるPWM制御とR2RネットワークによるD/Aコンバータで作られ、電流・電圧計測はオペアンプとPICで構成されています。
  USBインターフェースはFT232RLを使用して仮想COMポートで連接されます。コレクタ/アノード電圧が最大10Vと低いのが残念です。

 ④ ソフトウェア
  PIC用ファームとPCソフトウェアで構成されます。
  PCソフトから計測に必要な全ての制御を行い、計測対象の選択、印加電圧・電流の選択、データ計測及びカーブ表示まで行います。
  また、ハードウェアテスト機能を持ち、作動確認やキャリブレーションが楽に出来ます。

  本機は、例えばバイアスを自動でステップアップして複数のカーブを描かせることは出来ません。この部分は手動で逐次設定する必要があります。これについては氏も将来の改善点だと述べられています。


(3) 製作上の注意
 資料が揃っているので直ぐ製作を開始できますが、事前に念入りに資料を読んで下さい。
 
 ① 回路
  複雑な回路ではないので見れば分かります。氏は最終的に一部オペアンプの交換や定数の変更を行っており、その部分は反映されていませんのでご注意下さい。
  私の場合も、組み立て後の調整結果等で定数を一部変更しました。

 ② プリント基板
  基板パターンはチップ部品による両面基板となっています。トランジスタや半固定抵抗等、足の順番やピッチが違う場合は、予めパターンの変更をお忘れ無く。
  私は、基板自体は以前製作しており、数ヶ月してやっと部品が取り付いたことになります。

 ③ 使用部品
  特殊な部品は使用されていませんが、トランジスタ、FET等は適当な国産品に置き換える必要があるかもしれません。PICやFT232RLは秋葉等で入手できるし、オペアンプは同等品で良いと思います。(使用箇所によってはレールtoレール型が望ましい)

 ④ 完成外観
  もう少しましなケースに入れてやりたかったところですが、手持ちにこれしかなく、休日にわざわざ都心に足を運ぶのは大儀です。

TRCURV_完成外観
TRCURV_完成全体  TRCURV_完成内部横

  計測用の外部端子はRCAジャックとしました。極力ノイズの影響を避けるためにプローブ(わに口クリップ)近くまでシールド線を使用するためです。プローブはもう少し工夫したいところです。

(4) PCソフトの留意点
 公開されているPCソフトはメニューがドイツ語表示となっています。そのままでも分からないことはないと思いますが、気になる場合は変更して下さい。
 変更の方法はここでは述べませんが、ソースコードを元に再コンパイルするのが手っ取り早いと思います。私はC++を持っていない(分からないし)のでバイナリエディタを使いました。なお色々と問題があるといけないので事前に了解を取りました。

 氏に英語版の公開をお願いしましたが、英語は苦手の旨お断りを頂きました。残念です。
 ソフトはLinux下のC++で開発され、TrolltechのQTライブラリを使用していると記載されています。プラットホームのクロスコンパイルが可能なライブラリのようで、Window環境でもコンパイルできそうです。


(5) チェックと調整
 公開資料に書いてあるので詳細はそちらを読んで下さい。
 次の順で確認とキャリブレーションを行いました。その結果、一部回路定数の変更等を行っています。

 ・電源電圧
 ・PC-USB接続 (FT232RLの仮想COMポート)
 ・リレー制御 (極性及びベース電流切替えの5個のリレー)
 ・D/Aコンバータの直線性 (ノコギリ波の立ち上がりと直線性)
 ・D/Aコンバータ出力 (±10VとなるようにR2Rネットワーク後のオペアンプゲインを調整)
 ・コレクタ/ベース電圧表示 (表示値が10.0Vになるように理想ダイオード回路ゲインを調整)
 ・コレクタ電流表示 (外部電源から100mAを流し表示値を調整)
 ・ベース電流 (10uA、100uA、1mAに調整)


(6) 使い方と試計測
 ① 注意点
 使い方は至って簡単ですが、足の接続を間違えないように注意が必要です。
 ±Vccには500mAのヒューズが入っていますが、それ以外には保護回路はありません。接続を間違えるとトランジスタが昇天する恐れもあります。

 ② 使い方
  トランジスタ等を正しく接続したら、その種別及び極性をメニューから選択します。
  次に、計測項目(入力特性か出力特性)を選択し、試験電圧・電流値を選択してスタートさせると、当該設定のカーブが1本表示されます。
  本機は残念ながら自動でステップアップして複数カーブを計測することができないので、必要な値を逐次選択して描画させる手動操作が必要です。前のカーブはそのまま残したりバックグランドに移すことも出来るので、複数のカーブを同時に表示できます。

 ③ 試計測
  手近にあったトランジスタ、FET等を幾つか計測してみました。
  ・各種ダイオード V-I特性
  ・PNPトランジスタ2SA1930 Vce-Ic特性
  ・J-FET 2SK30ATM Vds-Id特性
  ・N-MOSFET Vds-Id特性

TRCURV_完成Diode計測中  TRCURV_完成Diode
TRCURV_完成2SA1930 Vce-Ic  TRCURV_完成2SK30 Vds-Id
TRCURV_完成NMOS Id-Vds発振
 
  幾つか課題も見受けられました。
  まず、N-MOSFET計測時にIdが500mA付近でグラフに歪みが生じ、調査の結果電源部の問題だと判明しました。使用したトランスが若干電流容量が小さいため、電圧降下で三端子レギュレータが異常作動になっていました(外部電源では問題なし)が、トランス交換で解決しました。

  Ic/Id電流レンジは500mAのみで、PICのADCが10bitなので約0.5mAの分解能しかありません。(上図の2SK30ATMのように)低電流時にグラフが凹凸となるのはやむを得ませんが、計測アンプのゲイン切替えやグラフのスムージング等の仕組みが欲しいところです。

(7) 最後に
 冒頭にも書きましたが、(人様の作例に失礼ですが)開発途上のカーブトレーサだと感じる面もあるものの、私レベルの趣味で使用する分にはかなり満足できるもので、また機能向上に大いに期待が持てます。
 改善部分については自分でトライする努力も必要ですね。

 最後に、興味ある作例と共に多くの資料を公開されているAndreas Lindenau氏に改めて感謝致します。


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