nobuの雑記帳「+バイアスを少し」

近頃なぜか真空管や電子工作に興味を持ちだし、日常生活に少しの刺激と楽しみをプラスしようと、凝り固まった頭の体操も兼ねてこの雑記帳を綴ることにしました。
061234567891011121314151617181920212223242526272829303108

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【 --/--/-- 】 スポンサー広告 | TB(-) | Comment(-)

エミ減球の再エージングにトライ

 今日(1月3日)は、朝方は少し曇っていましたが昼前から青空になり、窓辺にいると昼寝したくなるような陽気です。我が家のニャンコたちも窓辺に長々と伸びています。(寒いと丸まるのです)山の神と娘はお出かけしたため私は一人で留守番です。

 ゆっくり時間があるこのような時にやってみようと思っていたことがあります。それは、エミ減球(電流が流れなくなった真空管)の復活(再エージング)です。ネット上には幾つかの方法が紹介されており、ライターによる火炙りやヒータ過電圧による喝入れ等があるようです。

 廃棄ボックス住まいの何本かに試験体になってもらい、再エージングなるものを試してみましたので、その結果をご紹介します。
 私としての結論を先に言うと、時間と手間をかけてまでやる価値があるかは微妙なところではある。でも面白い。

50CA10エージング風景


1.再エージングとは
  劣化により陰極電子放出(エミッション)が低下した真空管は、その原因にもよりますがある程度復活が出来るようです。

 (1) 参考サイト
   Koji HAYASHI氏による「日本の古いラジオの歴史館」です。ここの資料「付録: 真空管の再生」に詳しく解説されています。
   この資料を読めば、再エージングについてほぼ概要が掴めると思います。古典管から最新管までの特徴と相違点についても詳しく説明されています。

 (2) 再エージング方法
   上記資料にも管種毎の定型的方法の紹介はないので、球を壊さない程度の方法を勝手に決めてそれに沿って試行してみました。具体的には次の手順としました。

  ① 定格値(基準値)
    データシートから3結時の代表動作データを引用し、その時のEp、-Eg、Eh及びIpを基準とする。

  ② 初期値
    長期間使用していない状態のエミ減球を定格値で作動させ、その時のIpを初期値として再エージングのスタートラインとする。

  ③ 火炙り
    ゲッタの活性化で管内ガスを吸着させるためにガスコンロの弱火で約1分加熱します。徐々に加熱しないと破損する恐れがあるので、遠目から徐々に近づけていきます。加熱の手加減がわからないのでゲッタが少し縮小する程度に炙りました。十分冷却した後に定格値で作動させIpを読み取ります。

  ④ ヒータ過熱と馴らし運転
    ヒータ電圧を定格値の150%にして1分間過熱(ヒータフラッシュ)し、続けて30分間定格値で馴らし運転をしてその終了時点のIpを読み取ります。

  ⑤ 繰り返しサイクル
    Ipの改善が十分でない場合は、ヒータ過熱と馴らし運転を1サイクルとして数回繰り返します。その都度Ipを計測して再エージングの効果を確認します。途中で効果がないと思われた場合は中止します。


 2.試験器材

 (1) 電源装置
   試験球に与える電源は、自作の真空管実験用電源を使用します。LCD表示器でEp、Ip、-Eg及びEh、Ihが読み取れます。精度はそれほど高くないので参考値ですが、大まかな傾向は掴めると思います。
   なお今回の球の中にはヒータ50Vのものがあり、これについてはAC電源テストベンチ(スライダック)で外部電源として印加しました。

エージング風景  エミ減カルテット

 (2) 試験球
   その内廃棄される運命の劣化(エミ減)真空管を取り出してきました。総数5本(エミ減球カルテットに後で1本を追加)です。入手時に既にエミ減だったものが殆どで、一本だけは不注意でIpが流れなくなったものがあります。

  ① UZ42
    一山幾らの中にあったもので、見てくれはさほど悪くはないものの、トレーサで計測するとEp-Ipカーブが大きく寝ており末期状態です。

  ② 6V6GT
    これも一山の中からですが、カーボンスーツで中の様子も見えずほぼ末期状態のものです。

  ③ EL38
    ジャンク屋で500円で購入したものですが、ゲッタがかなり薄くなっており管内に電極の粉落ちが少し見られます。

  ④ 50CA10
    以前レストアした真空管アンプMQ60に使用していたものですが、1年程前に誤ってテスター棒の先でピンをショートしてしまい、調整範囲内では全くIpが流れなくなってしまったものです。泣く泣く廃棄ボックスへ。

  ⑤ CZ504D
    上の4本の計測が終了した後で見つけたもので、追加で計測しました。
    入手先が不明確ですが手元に2本あり、もう1本はEp-Ip特性は元気です。UZ42の兄貴格にあたるようですが、3結時の定格値が不明なためUZ42と同一として比較しました。この球はゲッタがかなり薄くなっています。


3.試験方法
  上記の再エージング方法を順にやっていきます。
  手間が掛かりますが、BGMと読書をお供にのんびりとやりましょう。幸いにもニャンコ達はお昼寝の真っ最中で邪魔者はいません。

UZ42ヒータ過熱  EL38ヒータ過熱

50CA10エージング  CZ504Dヒータ過熱

  写真に試験風景と各管の様子を示しますが、ヒータ過熱時は時間オーバや断線事故がないように注視しておく必要があります。煌々と輝くヒータは今にも切れそうで心配です。


4.試験結果
  合計5本の試験結果を表とグラフで示します。

エミ減球の再エージングの試行結果s

 (1) 効果無し
   UZ42は初期値12.5mAから煮ても焼いても殆ど変化ありません。ヒータ電圧150%の過熱状態でもIpは約20mA止まりなので、エミ減改善の可能性は全くないと思われます。
   6V6GTは火炙りで僅かに改善した後は、ヒータ過熱での改善が見られず殆ど効果無しとして途中で放り出しました。

 (2) 少し効果あり
   EL38は初期値19.1mAから最終的に34.5mAまで改善しました。実はこれ以降も7回まで繰り返しましたがこれ以上の改善は見られませんでした。

 (3) 効果あり
   50CA10は事故球なので厳密にはエミ減とは異なりますが、今回の再エージングでほぼ復活したと言えます。初期値52.0mAから最終的に73.1mAと大きく改善しており、元々仲間であった他の3本と同等にまで回復しました。
   Ipが流れなかった原因と何が効果があったのかはわかりませんが、予備のセット(未使用4本)を使う必要がなくなって非常に嬉しいです。
   CZ504Dは入手時にトレーサで特性計測して、こりゃダメだと廃棄ボックスに放り込んだものですが、ここまで改善するとは思っても見ませんでした。定格値からはまだ程遠いですが工夫すれば何とか使えるレベルだと思います。
   正常?球(手持ちのもう1本)とエミ減球のEp-Ip特性を次に示します。

CZ504D特性_正常球  CZ504D特性_エミ減球


5.感想
  「付録: 真空管の再生」を参考に、怖いもの知らずの我流で再エージングを行ってみましたが、これ程特性が変化するものとは思ってもいませんでした。
  今回試行したのは汎用球なので、正直ここまで時間と手間をかけて少しの改善に期待することが得策かどうか微妙です。改善したといってもこの特性が今後も長期間持続する保障もないわけです。
  とは言ってもこのような方法があることを知っておき、一度でも経験しておくと何時か役に立つと思いました。

  今回は僅かな球数でしたが、エミ減球の再エージングについて少しでも経験を積み、また再エージングの奥の深さにもふれることが出来ました。再エージングのやり方も色々と工夫が必要でしょう。
 どんな球でも貴重な過去の遺産です。大切にかつ無駄なく使用しましょう。

  なお、例によって全て自己責任でやってください。大切な球を壊しても責任は持てません。


コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。